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2004年 10月 04日
やはり第38回(「ある隊士の切腹」)の感想は書きづらいなぁと。というわけで、第39回の感想を先に。
今回の物語の中心は谷三兄弟。周平が生真面目に描かれているのは別として、谷兄弟、特に長兄の描かれ方はちょっとひどいと思った。 谷三十郎の死因は諸説あるらしいが、その中でも脳卒中による急死がもっとも有力らしい。介錯失敗に怒った斉藤に殺されたという説も確かにあるらしいが、谷が脱走を試みたなんて話はいまのところ自分は見つけてないし、次男万太郎についてはこれまた脱走なんて話は無いのである。 創作でこんな描かれ方だと、自分が谷の子孫だったらいい気分はしないだろうなと思って見ていた。最後の解説コーナーで、フォローのように谷兄弟の活躍が流れたのを見て、逆にその感想が強くなったりして。 こんな風になったのも、谷をどうしようもない風に描かないと斉藤に殺される正当な理由付けが出来ないからだろうなと。物語だから、粛清される側にそれなりの理由をつけないとやってられないのだろう。でも、それだったら、もっとも有力な脳卒中死亡説を取った方が物語としてすっきりしたような気がする。(というか三谷さんはそうやって来るんじゃないかと自分は思っていた。) 周平が浅野脱走に絡んで脱走の濡れ衣を着せられた話は、まったくの創作である。この話の意図はなんだろう。近藤周平が養子縁組を解かれた(これは事実)理由をきちんと描いておきたかったのだろうか?。 それにしても、まるで青春ドラマのような結末。対照的な前回の河合の死のアイロニカルさを思い出した。どちらがいいとかという話ではなく、前回の話と今回のそれの整合性の無さが気になってしまった。「それが近藤と土方の差だ」と言われてしまえばそれまでなのだが。 今回の大河は大河にもかかわらず「一話完結もの」的な構成を目指してるんだろうと。それはそれなりにうまくいってるように思える。でも、前回と今回の落差は、その弊害の方が出てしまったかなと。 ところで、今回浅野が(新撰組側から見れば)一種の悪もの役である。上で述べた通り、浅野が周平を巻き込もうとした話は創作である(脱走そのものは事実)。なぜ浅野にこんな役回りをさせたのだろう?。調べてみたら、史実では浅野は後に沖田に殺されるのである。もしかしたら、浅野はこのままフェードアウトではなく、後で沖田に殺されるエピソードも出てくるのではないか。沖田と斉藤の会話がそれを示唆してるような気がしたのだが。 その沖田。死相が彼のキャラクターを変化させてることは皆さんお気づきだと思う。ここ二回、それが顕著に現れている。わずか数週前には左ノ助と掛け軸を破っていたのに(笑)。藤原君もこの辺をうまく演じているなぁと思う。 後回しになってしまったけれど、左ノ助がついに結婚です(笑)。このシーン、土方が「寺田屋騒動」以来のコミカルモード。いちいち左ノ助に突っ込むところは笑ってしまった。松原の死、河合の死と二週続けて重かったせいか、まるでその反動が出たみたいな脚本。そういえば「寺田屋騒動」も「山南切腹」の翌週だったなと。 それにしても、ここ二週間「世の中の動き」がほとんど描かれていない。近藤の広島遠征、そして将軍の死。これらを合わせても五分に満たないのではないか。ここまで「歴史の動き」を描かない大河もめずらしいっす(笑)。
by ktysh
| 2004-10-04 21:58
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